無料で読めるけど広告収益で儲けるというビジネスモデルは崩壊するのではないか

ニコニコは2024年5月、公式サイトに「広告ブロックツールの使用についてのお願い」を掲出した

ニコニコ、広告ブロックツール「AdBlock」で年間損失1億円超 クリエイター支援に影響及び対策検討 | ORICON NEWS

この損失1億円超というのも眉唾もので、広告ブロックするユーザーは広告が見たくないんだから例え広告ブロッカーを無効にしても広告をクリックしないでしょう。P2Pのファイル共有が流行したときの損失◯◯円。漫画村のときの損失〇〇円。いつも利害関係者の大本営発表で、本当にそんな損失があるのか?と疑問に思ってしまう。そもそもニコニコはプレミアム会員数が毎年のように激減しており、お金を払う魅力がないとはっきり言われている状況。加えてサイバー攻撃で壊滅的な打撃を受けている。誰が個人情報やクレジットカード登録したいと思うんだろうね。

Q 5-8 みんなが広告ブロックするようになるとサービスが立ちいかなくなったり、ウェブが有料化するのでは?

よくある質問 · Yuki2718/adblock2 Wiki · GitHub

広告ブロックをする人がいる、これは好むと好まざるとにかかわらず現実です。とくにウェブの場合は理念としてブロックできなければならないと明言されているので、サービス提供者や広告業界のほうがこれに適応する必要があります。大きな問題は、1. 広告に代わりうる収益化手段が乏しい、2. ウェブ広告が完全に嫌われ者になってしまっている、の二点になるでしょう。ただし、広告ブロックが本当に各所でいわれるような損害をもたらしているかは不明です。広告ブロックによる「損害」とされるもののほとんどは具体的な算出方法が不明で、統計もバラバラであり、利害関係のある団体による発表です。おそらくこれらの統計は近視眼的な仮定の下に計算されており、全体としてみると、理論上は広告ブロックが収益を増やすことさえありえます。鍵となるのは、広告への感受性は人によって様々であるというあたりまえの事実です。ブロックするユーザーの多くは仮にブロックしていなくても広告をクリックしないと考えられ、その場合はインプレッション収入しか得られません。さらに感受性が高いユーザーは離脱する可能性が高く、そうなると一切の広告収入が入りません。彼らはどうせ収益に貢献しないから問題ないという考えもありますが、SNSなど、ユーザー数が直接価値につながるサイトも多くあります。

1.については以前からずっと模索されており、日本ではCoinhiveの一件が有名でしょう。ユーザーの同意さえ得れば優れた方法であり、今でもArcなどがありますが、普及しているとはいえません。Braveは広告の収益分配の再構築を目指しており、クリエイターを直接支援する仕組みを実装しました。この方法なら本当に良いコンテンツだけにお金が集まる可能性が高く、SEOだけに注力した中身のないサイトを量産している現在の収益システムの問題は起こりにくいような気がします。

2.については、多くの調査で一貫して「それほど不快でなければ広告をみてもよい」という人が多数を占めています。つまりブロックされたくなければ不快でなくすればよいだけです。それでも一部の人はブロックを続けるでしょうが、本来広告とはそういうもののはずです。すべての人がみなくても、ニーズのある人に届けばいい――広い意味ではブランディングでさえそうです。新しいメディアが出るたびに同じ議論が繰り返されていますが、今ではCMをスキップしてはいけないとか、CM中にトイレに行ってはいけないとか、ポストに入ったチラシはすべて目を通さなければいけないとか、新聞・雑誌の広告欄は読み飛ばしてはいけないなどという人はいないでしょう。受け手の任意でみることができ、潜在的な、あるいは将来のニーズと商品や情報を結びつける限りにおいて、広告は有用で価値があります。ウェブ広告が嫌われ者になってしまったのは、そうした立ち位置を超えてきたのが一つの理由でしょう。加えて違法広告malvertisingもあり、今や有害になってしまっています。それに対し規制、自浄作用をという声が上がってもう何年も経っており、まったく自浄できない業界のありさまをガンにたとえる人もいます。また、「広告はサービスの対価」という人がいますが、広告はそれ自体別のサービスであって、対価ではありません。対価などという発想は広告が不快、マイナスであることを前提にして初めて生じるものです5-4。話をややこしくしているのはサービス提供者、ユーザー、そして広告主の三角関係です。ここで実際にお金を払うのは広告主で、それを支えるのは広告を通して商品を購買するといったアクションを起こす一部のユーザーです。インプレッション広告にしても、認知度以上に好印象を持ってもらう必要があるはずで、見たくないユーザーに無理やりみせても逆効果になりかねません。不快な広告を我慢してみることはその人にとって無駄なだけでなく、広告主にも益になりませんし、広告配信者にとってもリソースの無駄です。さらに、「ただでコンテンツを作る人などいない」といった主張もみますが、現在のインターネットはLinuxやApache HTTP Serverをはじめ、多くのボランティアによって成り立っていることを忘れるべきではありません。広告ブロックもボランティアによって成り立っている営みの一つです。

広告が多すぎて不快なのがまず問題なのであって、テレビのCMや新聞の広告などのように邪魔にならない程度の問題ならブロックしようとは思わない。ウェブ広告業界はモラルが崩壊しており自浄作用がない。だからuBlock Originなどで自衛するしかないという話。